
おじさん。
図面に斜めの寸法が書かれて無い事が
よくあるんだけど、一体何センチだ?

そうだな、
図面には長さや高さは明記されてるが斜めの寸法は無かったりする。
ま、水平(長さ)と高さが分かれば仕事は出来るんだが、
斜めの実寸が分かれば尚、仕事がし易いのは間違いない。
そこで斜めの寸法の出し方を簡単に求められる方法を教えるよ。
この求め方は「筋交い/筋交いの収め方」の記事でも紹介しましたが、
改めてここでもう一度おさらい致します。
まず、理論上は下のような感じの理屈で寸法は求められる。


むずかしそうやな。もっと簡単な方法は無いんけ?

もちろんこのまま暗算で出せる人もいるだろうが、
そんな人はかなりの強者だから、
普通は電卓を使って簡単に出してる。
垂木の長さを電卓で出す
寸法の算出
下の屋根断面図のような現場で垂木(斜辺)の長さを計算する場合の個々の寸法を洗い出します。

- 棟から桁までが 2730
- 軒の出が500
- 5寸勾配なので桁天から棟木天端までが 2730×0.5=1365(※1)
- 垂木の下がり天が250(500×0.5(※2))
まとめると、

となり、先に出た公式にあてはめると、
垂木の長さ=√3230²+1615²
これを電卓で計算します。
(※1,※2 屋根勾配の計算はこちらで説明してます。)
斜辺を簡単に出す電卓の使い方

電卓はメモリー機能と√のボタンが付いている物を使います。

3230の数字を入れた後、× Ⅿ+ の順に押します。
すると出てきた数字は 10432900 になります。

消さずにそのまま、
1615 を入力してまた同じく × M+ を押します。

すると出てきた数字は2608225ですが、
これもそのまま次に、
MRC を押した後、√を押すと

3611.2497… が出てきます。
3611mm(小数点以下四捨五入)が垂木の長さです。

なるほど。やり方は分かったが
何のメリットがあるんだ?

定尺の4mで長さは足りるというのが分かるから、
材料の発注や計算ができるし、
正確な長さが分かれば、屋根に上げる前に先に切っとく事ができるね。

組んでから屋根の上で鼻先の垂木を切る事は
なかなか危険な作業なんだよ。
破風板も同様の計算で出来ますし、登り梁や勾配天井の下地材も同じ計算です。
また、地墨や基礎天の土台墨の矩(90°)もこの方法で出てきますので次回はそれを詳しく説明します。