筋交い
「筋交い」とは、垂直と水平方向の材で組んだ四角形の構造体が変形しないよう斜めに設ける材のことを指す。木造建築では一般的に、垂直は柱、水平は土台、桁梁のことである。
漢字で記すと 「筋違い」とも表記したりします。
建て方の際、柱の立ちを見終わった後、その柱、梁が転ばないように設ける筋交いを 「仮筋交い(かりすじかい)」といい、その後、正規の位置に納める筋交いを「本筋交い(ほんすじかい)」と呼ぶ。
また、小屋裏(屋根裏内)に設けた筋交いを「雲筋交い(くもすじかい)」といい屋根の変形を防ぎます。


また、梁や桁などの横架材どうしの変形を防ぐために設けられたものは「火打ち(ひうち)」いいますが、筋交いの縦方向の変形を防ぐのに対して、火打ちは横方向の変形を防ぎますので、方向が違うだけで役割としては粗同じです。

最近では鋼製火打ちの方がよく使われています。
筋交いの収め方

筋交いはちゃんと収めないと効力が十分に発揮されませんので注意してください。
例えば、筋交いの両端部がちゃんと柱や桁梁又は土台に接地してなかったり、
外れないよう金物などでしっかりと固定されていなかったりすると、筋交いが荷重を受けてくれません。
筋交いの足元が根太の上に乗ってたりすると効力は削減されますので、根太は交わして土台又は桁梁に接地させましょう。(剛床などの土台、桁梁へ密着した直貼りの厚板合板の上へは乗せても大丈夫です。)
筋交いの収める位置
木造建物の筋交いは、
①柱と横架材(土台、桁梁)で四方を囲まれた空間に設ける。壁厚内になる場合が多い。
②左右の柱間の幅は90㎝以上2mまで、上下の階高は 階高/幅≦3.5
加えて、筋交い自身の長さが4mを超えないようにしてやることが望ましい。

例えば、階高が3mで柱間が90㎝の場合は、3÷0.9=3.33… なのでクリアしている。
0.9m×3.5=3.15 なので柱間が90㎝の場合は最大階高は3.15mになる。
③建物の外周(特に隅角部)に重点的に配置することがポイント。
④筋交いの方向も上下階や左右隣接する場合は方向を変えてやるとよい。


他の面材耐力壁があれば、それらとの兼ね合いもあるので注意が必要。
壁量計算などで設計図で指定されている場合はそこに入れましょう。
筋交いの長さの算出(斜辺の長さ)
筋交いの長さは同一建物内でも収める場所によって違います。
その都度現場にて採寸してもいいのですが、ここでは計算によって求めてみましょう。
モデルケース:
柱間が90㎝、階高が3m、柱が10㎝、梁背が30㎝の場合
(筋交いが収まる内間は、幅80㎝、高さ270㎝)

これを元に三平方の定理で斜辺Cを求めると下記のようになります。


おら、暗算できねぇや
確かに暗算ではむずいので電卓でしてみよう。





ルートとメモリー付きは必須でござるな。

数字を変えるだけでどの斜辺の長さでも出ます。

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筋交いの墨付け3m
上記で出ましたモデルケースを元にカット墨を付けていきます。
使う材は幅90㎜以上厚みは30㎜以上(通常は90×45)
材の中心に芯墨を付けます(90㎜なら45㎜)

次にその材の端部付近に差金を当てます。
この時、柱内80㎝ 上下間270㎝ の 80:270 の比で差金を芯墨に当てます。


次に、縦軸方向(柱接地面)の墨を描きます。
先ほど描いた横軸方向の墨と芯墨が交わるところに差金の角を持ってきて
横軸方向の墨に対して直交するようにあてます。
この時、差金をひっくり返して裏面にしてやると長い方向が手前にきて描きやすいです。

できた片側のカット墨の角(芯墨との交点)から先程だした筋交いの長さ(2816㎜)を測ります。
その長さの芯墨の所に差金の80㎜の目盛り所を角度をだします。
やり方は先程と同じでもう片方は270㎜の目盛りの所を当てます。
で同じ様に墨を描いて完成です。


筋交いの刻み加工


現場によっては柱や梁が変形や木の収縮で規定の寸法よりやや小さくなっている場合があります。
切る時はそこら辺の事も踏まえて少し余裕残で、最後は現場当たりで確認しましょう。
収め方と固定
本筋交いを収めると立ちは簡単には動かなくなってしまいますので、
下げ振りやレーザーでしっかりと立ちを見て(垂直にして)、
更にその立ちが動かぬよう仮筋交いで固定してから収めましょう。
筋交いは木材なので木の特質上反ってる場合もあります。
壁の厚み部分に収める場合は、筋交いがその壁の厚み部分からはみ出さないように注意しましょう。
慣れてくると、木の反りを見ながら筋交いを配置できてきます。

